日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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MAPKの基質であるWRKY8は植物の防御応答に関与する
*石濱 伸明山田 麗子吉岡 博文
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p. 0962

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抄録
植物の防御応答において、MAPKカスケードが重要な役割を担っている。これまでに、SIPKオルソログであるジャガイモのStMPK1によりin vitroでリン酸化される基質として複数のPPS (Protein Phosphorylated by StMPK1) を同定した。PPSの防御応答への関与を明らかにするために、Nicotiana benthamianaのPPSホモログ (NbPPS) をサイレンシングし、ジャガイモ疫病菌に対する防御応答を調べた。その結果、NbWRKY8 (NbPPS8) をサイレンシングした個体において、対照区と比較して病斑の拡大が認められた。NbWRKY8は、in vitroでWRKY型転写因子のシス配列であるW-boxに特異的に結合し、その結合能はMAPKによるリン酸化で上昇した。アラニンスキャニング法によりNbWRKY8のMAPKによるリン酸化部位を調べたところ、N末端側の5箇所のセリンをリン酸化されていることが示唆された。そこで、N. benthamiana葉に推定リン酸化部位をアスパラギン酸に置換した変異体NbWRKY8DDDDDを発現させたところ、その下流遺伝子として単離されたNADP-MEの発現が強く誘導された。以上の結果より、NbWRKY8はMAPKによるリン酸化により活性化し、防御応答に関与する下流遺伝子の発現を誘導することが考えられた。
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© 2009 日本植物生理学会
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