抄録
進化的に離れた動植物間の諸機能の進化と多様性を理解するためには、その中間に位置するモデル生物種について比較ゲノム的な知見を得る事が重要である。我々は緑藻クラミドモナスChlamydomonas reinhardtiiの完全長cDNAライブラリーとゲノムBACクローンライブラリーを構築し、解析を進めている。米国JGIでは雌(mt+)株のゲノムについて解析されており,我々は雄(mt-)のC9株について解析を進めている。様々なストレス処理細胞から5種類の完全長cDNAライブラリーを作製した。得られたクローンについて両末端配列101,174リードを取得し、既知のESTと共にJGIのドラフトゲノム配列上にマッピングしたところ、13,641クラスターが形成された。このうち完全長cDNAを含むクラスターは3,149個であった。またゲノム長の20×BACライブラリーを作製し、11,904クローンの両末端配列を決定し、ドラフトゲノム配列へのマッピングを行ったところ、両末端がマップできたものが6,310クローン存在し、既存のscaffoldを連結するクローンやギャップ領域をカバーするクローンを見出した。また性決定や有性生殖に関与する遺伝子群を含む性決定領域のBACクローンを単離し、その構造を解析している。クラミドモナス雄株の配列情報を統合したクラミドモナス・ゲノムデータベースの構築についても報告する。