抄録
アジサイのガク片は，栽培条件の違いにより花色を変化させることで有名である．全ての色は同一の色素（delphinidin 3-glucoside），助色素（5-O-caffeoylquinic acid, 5-O-p-coumaroylquimic acid, 3-O-caffeoylquinic acid），アルミニウムイオンから生じる．我々は着色細胞の一細胞分析から，この花色変化が助色素やアルミニウムイオン，および液胞pHのわずかで連続的な変化によって生じることを明らかにしてきた．しかし，この花色変化に関与する遺伝子の情報は全くない．本研究では，アジサイの花色変化に関与する遺伝子の特性を明らかにするため，ガク片におけるEST解析を行った．青色系アジサイ（Hydrangea macrophylla. cv. Narumi blue）ガク片の着色ステージを3段階に分け，各サンプルより精製したTotal RNAからノーマライズ化したcDNAライブラリーを構築した．このcDNAライブラリーの平均インサートサイズは約1.8 kbであった．現在，任意のcDNAクローンの塩基配列解析を行っている．
