抄録
ある種の植物は生育の過程で土壌や水から鉛やカドミウムなどの重金属を取り込み、体内において高濃度に蓄積することが知られている。我々は放射光X線マイクロビームをプローブとする蛍光X線分析とX線吸収微細構造(XAFS)解析をこれらの植物に適用し、重元素の蓄積部位と化学形態を明らかにすることで、その蓄積機構の解明を目指している[1-2]。本講演では、Cd蓄積植物ハクサンハタザオ(Arabidopsis halleri ssp. gemmifera)における細胞レベルのCdの分布と化学形態について紹介する。またヘビノネゴザ(Athyrium yokoscense)やタバコ(Nicotiana tabacum L. cv. Xanthi)の各器官におけるCdの化学形態について得られた知見も紹介したい。
[1] A. Hokura, et al., J. Anal. At. Spectrom., 21, 321 (2006).
[2] N. Fukuda, et al., J. Anal. At. Spectrom., 23, 1068 (2008).