日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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mRNA発現プロファイリングおよびネットワーク解析を基盤とした機能ゲノミクス
*佐藤 昌直Lenarz-Wyatt LisaHernick CharlesGlazebrook Jane渡辺 雄一郎片桐 文章
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p. S0082

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抄録
生物の表現型の多くは頑健かつ複雑なシステムによって発揮されており、遺伝子破壊の結果として現れる表現型を指標に遺伝子とその生物学的役割を対応付けていくのは難しい。実際に大部分の遺伝子について生物学的な役割は未だ明らかになっていない。このような状況を打開し、各シロイヌナズナ遺伝子とそれが関与する生命現象との対応付けを進めていくには
1) 遺伝子破壊がもたらす変化の鋭敏な検出
2) システム内での各因子間の関係の推定
を効率よく進める方法論の構築が必要である。
我々はシロイヌナズナの病原体応答を対象にこの課題に取り組んでいる。防御応答時の大規模なmRNA発現変化は防御応答シグナル伝達に関するグローバルかつ鋭敏なマーカー遺伝子であり、最終的な表現型からは評価できない内部の変化として検出できる。また、マイクロアレイ解析から数百-数千遺伝子(パラメーター)について情報を得ることは容易であるので、微細な遺伝子破壊の影響を読み取るだけでなく、数理解析により各遺伝子間のシグナル伝達機構の共有パターンを明らかにできると考えた。現在、我々は防御応答初期に誘導される制御因子の遺伝子破壊株、高性能・低価格のカスタムマイクロアレイ(Sato, M. et al. 2007. Plant J.)、特徴検出アルゴリズムを使ってシグナル伝達ネットワークモデルを構築し、解析を進めている。
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© 2009 日本植物生理学会
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