日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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小分子RNAの発現制御に関わる核内因子と細胞質因子
*田上 優子深谷 雄志本瀬 宏康渡辺 雄一郎
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p. S0084

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抄録
マイクロRNA(miRNA)は配列特異的に標的遺伝子発現制御を行う長さ20-24塩基長のRNA分子である。核内でDICER-LIKE1(DCL1)によって生成され、二本鎖RNA結合タンパク質HYPONASTIC LEAVES1(HYL1)によってその活性は促進される。我々はシロイヌナズナにおけるmiRNA生合成経路をさらに明らかにするため、hyl1変異体のサプレッサーを得た。この抑圧が、DCL1のRNAヘリカーゼドメイン内のミスセンス変異(dcl1-13変異)によることを明らかにした。この解析から、植物のDCLは小分子RNAを正確そして量的に産出するうえで、そのヘリカーゼドメインとHYL1のような二本鎖RNA結合タンパク質との機能的な関連が重要であることが示唆された。動物ではmiRNAの標的となるmRNAや“休眠”mRNAなどは細胞質中のprocessing body(P-body)と呼ばれる構造体へ向かうとされているが、我々は植物においてもほぼ同様のP-bodyの存在を示してきた。現在、P-bodyの構成要素であるDCP1及びDCP2のGFP融合タンパク質の動態解析を行っており、生細胞内におけるP-bodyの動態・役割について最近得られた知見を紹介したい。
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© 2009 日本植物生理学会
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