日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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新生ペプチドによる翻訳伸長の停止と共役したmRNA分解
原口 雄飛室田 勝功尾上 典之長谷川 傑川崎 大輔小松 陽平永見 陽子門倉 嘉知平田 健中嶋 一恵中本 真理尾之内 均*内藤 哲
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p. S0085

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抄録
植物におけるメチオニン生合成の鍵段階を触媒するシスタチオニンγ-シンターゼ(CGS)はメチオニンの代謝産物であるS-アデノシルメチオニン(SAM)に応答してCGS1 mRNAの分解段階でフィードバック制御される。この制御は翻訳中に起こり,MTO1領域と名付けたCGS1自身にコードされる十数アミノ酸残基がシス配列として働く。
試験管内翻訳系を用いた解析により,SAM存在下ではMTO1領域直後のSer94コドンで翻訳伸長の一時停止が起こり,ペプチジル-tRNASerが蓄積することが示された。このときリボソームは転座の段階で停止しており,そのA部位はペプチジル-tRNAで占められている。この翻訳停止と共役してCGS1 mRNA分解が起こり,3'側断片が分解中間体として生成される。分解中間体の5'末端は,翻訳停止したリボソームによって保護されると考えられる領域に位置しており,リボソームと密接に関連した機能によってmRNA分解が引き起こされることを示唆する。
mRNAの品質管理機構として,NMD,NSD,NGDなどの翻訳停止と共役したmRNA分解が報告されているが,これらの機構では,いずれもA部位が空になることで反応が引き起こされると考えられており,CGS1とは分解機構を異にすると考えられる。
Genes Dev 19:1799,2005;PCP 49:314,2008
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© 2009 日本植物生理学会
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