日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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ホスファチジルイノシトールリン酸、カルモジュリンと相互作用する新規カルシウム結合蛋白質の生化学的特性と生理応答
*加藤 真理子長崎 菜穂子井出 悠葵前島 正義
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p. 0022

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抄録

AtPCaP2 (Plasma membrane associated cation-binding protein-2)は当研究室で発見された新規カチオン結合蛋白質のホモログである。本研究ではPCaP2の生理機能の解明を目的に、発現様式と生化学的特性を検討した。GFPを用いた細胞内局在解析では、細胞膜にPCaP2-GFP蛍光が観察された。PCaP2のN端にはミリストイル化シグナル配列が存在し、この修飾に必須のGly-2を置換すると細胞質局在になったことから、PCaP2はN-ミリストイル化によって細胞膜にアンカーしていることが明らかとなった。続いてリコンビナントPCaP2を作製し生化学的特性について検討したところ、PCaP2はCa2+との結合能をもち、さらにPtdIns(3,5)P2, PtdIns(4,5)P2, PtdIns(3,4,5)P3と相互作用した。またPCaP2はCa2+依存的にCaMと結合し、PtdInsPsとPCaP2の相互作用はCa2+/CaMによって弱められることも明らかとなった。promoter-GUS解析では、PCaP2は根毛と花粉に特異的優先的に発現すること、そして培地に高濃度のKClあるいはNaClが存在するとPCaP2は著しく誘導されることも明らかになった。PtdInsPsを介したPCaP2の情報伝達についても述べたい。

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© 2010 日本植物生理学会
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