日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

シロイヌナズナにおける低温誘導性転写因子遺伝子DREB1の転写制御解析
*城所 聡圓山 恭之進中島 一雄井村 喜之刑部 祐里子藤田 康成溝井 順哉篠崎 一雄篠崎 和子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0050

詳細
抄録
植物の転写因子DREB1/CBFは、DRE/CRT/LTREと呼ばれるシス配列に特異的に結合し、環境ストレスに対する耐性獲得に関わる多くのストレス誘導性遺伝子の発現を制御する。3つのDREB1遺伝子群の発現は、低温条件下で一過的に強く誘導され、その一方でストレスのない条件下では低く抑えられおり概日リズムによって制御されている。これら3つの遺伝子のプロモーター領域の配列は相同性が高く、共通の転写制御機構を持っていると考えられた。そこで本研究では、DREB1遺伝子群の転写制御について解析を行なった。
DREB1Cのプロモーター配列をつないだGUSレポーター遺伝子を導入した形質転換植物の解析により、発現制御に関わる65bpの領域を同定した。この領域内には、低温応答において転写を正に制御する配列と概日リズムにおいて負に制御する配列の両方が含まれていた。また、酵母のワンハイブリッド法により、この65bpの配列に結合するタンパク質をコードするPIF7cDNAを単離した。プロトプラストを用いたトランジェント発現系による解析から、PIF7はDREB1Cプロモーターに結合し、転写を抑制した。また、PIF7遺伝子のT-DNA挿入変異植物体では、概日条件下でのDREB1の発現が野生型よりも増加していた。以上の結果より、PIF7は概日条件下でのDREB1の発現を抑制する転写因子であることが示唆された。
著者関連情報
© 2010 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top