日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナのCDP-コリン合成酵素欠損株における花のホメオティック変異とBクラス遺伝子のメチル化との関係
*早川 慶紀Jin Jun-Young関口 陽溝井 順哉藤木 友紀Lee Youngsook西田 生郎
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p. 0057

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抄録
CDP-コリン合成酵素 (CCT, EC 2.7.7.15)は、ホスファチジルコリン(PC)の生合成経路であるCDP-コリン経路の鍵酵素である。シロイヌナズナのCCTをコードする二つのイソ遺伝子CCT1CCT2に欠損をもつT-DNA挿入二重欠失ラインcct1-1 cct2では、花においてエピジェネティックホメオシスを示す。具体的には、雄蕊は心皮に、花弁はがくに置き換わり、形態異常は世代を重ねることでより顕著になる。変異は、花形態形成のABCモデルによると、Bクラス遺伝子の変異ときわめて類似していたのでAPETALA3 (AP3)とPISTILLATAの発現レベルに対する影響をRT-PCRにより調べた。その結果、AP3のみ転写産物レベルが抑制されていることがわかった。 AP3プロモータ領域のDNAのメチル化レベルをバイサルファイトシーケンス法により調べた結果、これまでに報告した領域(関口ら、植物生理学会年会2008)のほかに、高度にメチル化されている領域の存在が明らかになった。以上のことは、cct二重変異株で観察されるエピジェネティックホメオシスは、Bクラス遺伝子AP3のDNAメチル化が原因であると考えられる。
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© 2010 日本植物生理学会
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