日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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ChIP-chip法を用いたシロイヌナズナゲノムにおけるヒストン修飾状態の解析
*金 鍾明藤 泰子遠藤 高帆田中 真帆松井 章浩石田 順子諸澤 妙子篠崎 一雄豊田 哲郎関 原明
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p. 0058

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抄録
真核生物の転写活性およびゲノム機能の維持、調節には、ヒストンN末端領域の化学修飾を介したクロマチンの状態変化が関与する。シロイヌナズナにおいて、ヒストン脱アセチル化酵素HDA6 は、遺伝子の発現抑制やヘテロクロマチン構造の構築に機能するエピジェネチックな因子として知られている。我々は、ChIP-chip法を用いて、HDA6によって制御されるシロイヌナズナゲノム上のAGIコード領域を特定し、それら領域におけるヒストン修飾状態のゲノムワイドな解析を行っている。これまでに、抗ヒストンH4アセチル化抗体を用いたChIP-chip実験を行い、hda6変異株に特異的な、およそ160カ所の高アセチル化したゲノム領域を見いだした。これらヒストンアセチル化ピークのほとんどは、転写開始点の近傍に局在していた。同定されたヒストン高アセチル化領域には、セントロメア近傍に位置するSahdu およびCopia等を含むトランスポゾンが多数含まれていた。現在、HDA6により直接脱アセチル化されると考えられる、いくつかのヒストン修飾部位について、ChIP-chip法による解析を進めいている。本発表では、HDA6の解析データをもとに、シロイヌナズナゲノムの遺伝子発現調節機構におけるヒストン修飾状態の役割について議論したい。
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© 2010 日本植物生理学会
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