日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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ブラシノステロイド情報伝達突然変異体bss1, bil6の原因遺伝子の機能解析
*嶋田 勢津子小松 知之中澤 美紀松井 南川出 洋安部 浩夏目 雅裕浅見 忠男中野 雄司
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p. 0087

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抄録
細胞伸長や分裂、光形態形成、葉緑体制御などの生理活性を持つ植物ステロイドホルモンであるブラシノステロイド情報伝達機構の解明を目指し、暗所、ブラシノステロイド生合成阻害剤Brz存在下での胚軸徒長を指標として、アクチベーションタグラインより野生型の約半分の胚軸短化を示すBrz高感受性変異体bss1(Brz-sensitive-short1)を単離した。bss1では、タグの挿入部位の前後の遺伝子の発現上昇が観察され、下流側の新規細胞質局在性タンパク質の遺伝子の高発現型形質転換体が胚軸短化の形態を再現したことから、この遺伝子をbss1変異原因候補遺伝子と同定した。
一方、タグの上流遺伝子の高発現形質転換体は、暗所Brz存在下で胚軸徒長するbil形態を示し、成熟個体は細矮性の形態を示したことから、この遺伝子をBIL6と命名した。ゲノム上で隣接する遺伝子がブラシノステロイドのシグナル伝達において正負の逆の制御機構を持っている可能性が示唆された。生合成酵素においては、ゲノム上で遺伝子クラスターを構成している例が幾つか知られているが、情報伝達遺伝子においての報告例はなく、シグナル伝達の進化を考察する上で興味深い。現在、BSS1とBIL6について、GFPによる細胞内局在性解析などにより機能解析を進めている。
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© 2010 日本植物生理学会
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