日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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ブラシノステロイド情報伝達因子BIL4の機能解析
*山上 あゆみ齊藤 知恵子中澤 美紀松井 南作田 正明中野 明彦藤岡 昭三辻本 雅文浅見 忠男中野 雄司
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p. 0086

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抄録
ブラシノステロイド (BR)は植物生長の様々な局面で重要な機能を果たしている植物ホルモンである。我々はBR情報伝達機構の解明を目指し、BR生合成阻害剤Brz存在下での胚軸伸長を選抜条件にして、ArabidopsisのアクティベーションタグラインからBR情報伝達活性型変異体bil4 (Brz-insensitive-long hypocotyl 4)を選抜し、解析を行なっている。
明所下で生育したbil4はロゼット葉の細小化と花茎の短化に基づく細矮性slender dwarf様の形態を示し、bil4変異原因遺伝子として7回膜貫通ドメインを持つ新規遺伝子を同定した。BIL4プロモーター::GUS形質転換体の解析によりBIL4は器官レベルでは幼葉や根の初期細胞伸長帯で発現していること、BIL4::GFP形質転換体の解析によりBIL4タンパク質は細胞レベルでは液胞膜、TGN、初期エンドソームに局在していることが明らかになった。続いて、BIL4高発現株ではBR応答性遺伝子であるTCH4などの発現が上昇していたこと、BIL4::RNAiによる低発現株では胚軸の短化が観察された。以上の結果より、BIL4はTGNや初期エンドソームに局在して、BRのシグナルを促進的に制御し伝達することによって、初期細胞伸長の制御に関わっていると考察された。
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© 2010 日本植物生理学会
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