日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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bHLH型転写因子をコードするイネの2種のブラシノステロイド誘導性遺伝子の機能解析
*田中 惇訓中川 仁大武 美樹Dubouzet Joseph G野村 崇人横田 孝雄浅見 忠男鎌倉 高志森 昌樹
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p. 0089

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抄録
我々はブラシノステロイド(BR)によって誘導されるbHLHタンパク質遺伝子BRASSINOSTEROID UPREGULATED1 (BU1、旧称OsBU3)とBU17について解析している。BU1は、その過剰発現イネ(BU1:OX)や発現を抑制したRNAiイネの表現型から、ラミナジョイントの屈曲に関与し、BRシグナルを正に制御する因子であることを示している。一方で、BU17:OXの形態は葉身が立つ表現型を示し、BRの負の制御因子であると考えられる。今回は、BU1とBU17のBRシグナル伝達系での詳細な位置づけを検討した。
BU1はシクロヘキシミド存在下でもブラシノライドにより発現誘導されることが示された。また、BR受容体(OsBRI1)及びGタンパク質(RGA1)の変異体では、BLによるBU1の発現誘導が低下していた。以上より、BU1はOsBRI1とRGA1の2つのBRシグナル伝達因子を介してBRにより初期に発現誘導されることが示された。更に発現分析から、BU1はラミナジョイント、生殖組織や葉身の篩管、胚の柵状細胞で発現していることが示された。
BU17の発現は、BU1:OXにおいて上昇しBU1遺伝子ファミリーのRNAiイネでは低下した。よってBU1やそのホモログの下流に存在することが示唆された。しかし、BU17:OXの葉身が立つことから、BU1とは逆の機能をもつことが考えられた。
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© 2010 日本植物生理学会
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