日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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イネにおけるプラスチド局在糖タンパク質ヌクレオチドピロホスファターゼ(NPP)の糖鎖構造解析
*金古 堅太郎柳田 愛甲州 努梅澤 幸歩古賀(北嶋) 彩天野 麻穂西村 伸一郎伊藤 紀美子三ツ井 敏明
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p. 0134

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抄録
我々は、イネ NPP について研究を進めている。イネにおいては、6つのNPP遺伝子が存在し、これらNPP遺伝子の過剰発現イネ細胞を作成し、生合成されたレコンビナントNPPをレクチンおよび陰イオン交換カラムクロマトグラフィーを用いて精製し、酵素学的諸性質を調べた。NPP1 とNPP6はデンプン生合成の前駆体であるADP-グルコースの分解活性を有していた。解析したすべてのNPPアイソザイムは、コンカナバリンAレクチンに結合することからN-結合型糖鎖を持つ糖タンパク質であることが分かった。さらに、各NPPGFPとの融合遺伝子をイネ細胞に導入し、共焦点レーザー顕微鏡によりその細胞内局在を観察したところ、NPP1-GFP、NPP2-GFP、NPP6-GFPのGFP蛍光の70%以上がプラスチドに局在していた。これまで、糖タンパク質はER―ゴルジ体で合成されることからプラスチドに存在することは考えられてこなかった。そこで我々は、このプラスチドに局在する糖タンパク質NPP1を、グライコブロット法により糖鎖構造解析を行った。その結果、プラスチドに局在するNPP1の糖鎖は、27種類のN-結合型糖鎖を有し、高マンノース型糖鎖が14.9%、複合型糖鎖は、53.8%、少マンノース型が31.3%含まれていた。このことから、NPP1がゴルジ体を経由してプラスチドに局在していることが示唆された。
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© 2010 日本植物生理学会
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