抄録
私たちはこれまでにカロテノイド由来のテルペノイドであるストリゴラクトンが、植物の腋芽成長を抑制するホルモンまたはその前駆物質として働くことを明らかにした。最近、イネの分げつ矮性突然変異体の解析から、ストリゴラクトン経路で働く新たな遺伝子DWARF14(D14)を明らかにした。D14はα/β-ヒドロラーゼスーパーファミリーに属する新規タンパク質をコードする。d14変異体の分げつ過剰性はストリゴラクトン処理によって相補されないこと、またd14変異体においてはストリゴラクトン内生量が高まっていることから、D14はストリゴラクトン生合成以降のステップで腋芽成長を抑制しているものと推定される。D14関連遺伝子が他の植物においてもストリゴラクトンを介した腋芽成長抑制に関わるかどうかを明らかにするため、シロイヌナズナのD14類似遺伝子の解析を行った。D14と最も高い相同性を示すAtD14遺伝子の機能低下型変異体は、more axillary growth (max)変異体と類似の枝分かれ過剰性を示したことから、シロイヌナズナにおいてもD14関連遺伝子がストリゴラクトン依存的な枝分かれの制御に関与することが示唆された。また、AtD14類似遺伝子であるAtD14LIKEの解析も進めているのでその結果についても報告する。