日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナ由来red chlorophyll catabolite reductaseおよびF218V変異体の基質結合型結晶構造
*杉島 正一岡本 千寛野口 正人河内 孝之民秋 均福山 恵一
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p. 0113

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抄録
クロロフィル分解経路は光毒性をもつ遊離クロロフィルを除去する経路として重要である。その分解過程においてpheophorbide aのクロリン環が開裂されて生じたRCCは、RCC 還元酵素 (RCCR)によって、20位と1位の間の二重結合が還元され、pFCCとなり、その色調を失う。近年、我々はシロイヌナズナ由来RCCRの結晶構造を新規に決定し、RCCRがフィトクロムなどの発色団合成を行うFDBRに特徴的なα/β/αサンドウィッチ構造を形成しており、両者が共通の反応基盤を持つ事を示した。
今回、我々はRCC結合型RCCRおよびF218V変異体の立体構造を2.6Åおよび2.0Å分解能で決定した。F218V変異体は、pFCCのC1位の絶対構造が反転した反応物を生じる変異体である。構造解析の結果、RCCはβシートとC末端側αヘリックス間に形成されるポケットに結合することが分かり、その結合様式はFDBRの基質結合と同様であるが、それに比べて結合が緩いことが示唆された。この事は反応中に基質よりかさ高い反応中間体を経由する事を考えると合理的である。RCCの還元部位近傍にはGlu-154とAsp-291が存在し、これらの酸触媒としての機能が示唆された。また、 F218V変異体と野生型の構造比較から、C1位を攻撃する触媒が両者で異なることによりpFCCの絶対構造が異なることが示唆された。
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© 2010 日本植物生理学会
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