日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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クロロフィルdを主要なクロロフィルとするAcaryochloris marina MBIC 11017への遺伝子導入による新奇クロロフィルの合成
*土屋 徹溝口 正鞆 達也民秋 均三室 守
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p. 0116

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抄録
Acaryochloris spp.は、クロロフィルdを合成することが判明している唯一の生物である。クロロフィルdの吸収極大波長は、他のクロロフィルと比較して長波長側にシフトしているので、Acaryochloris spp.は遠赤色光をも利用して光合成を行うことができる。2008年に、我々は基準株であるAcaryochloris marina MBIC 11017のゲノム配列を解読したが、遺伝子操作技術が全く確立していなかったため、これまでに分子遺伝学的解析を行うことができなかった。今回、我々はA. marinaへの遺伝子導入法を開発し、外来遺伝子の機能的発現に成功したので、その結果について報告する。始めに、多くのシアノバクテリアで保持されることが示されている広宿主域のプラスミドから発現ベクターを作製した。そのベクターを用いて接合法によるA. marinaへの導入を検討したところ、薬剤耐性を示すコロニーを得た。薬剤耐性株に導入したベクターが保持されていたことから、接合によるプラスミドの導入が可能であることが示された。次に、外来遺伝子としてクロロフィルb合成酵素遺伝子であるCAOA. marinaへ導入した。その結果、CAO導入株では野生型には見られない新奇なクロロフィルが蓄積していた。発表では、新奇クロロフィルの構造、性質と推定される生合成経路について考察する。
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© 2010 日本植物生理学会
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