抄録
シロイヌナズナにおける植物特異的ミオシンVIIIは、ATM1・ATM2・VIIIA・VIIIBの4メンバーにより構成される。結合領域であるテイルドメインの局在解析から、これらの分子は、原形質連絡、核、小胞体あるいはエンドソームといった多様な細胞内局在を示すことが示唆されている。このことから、テイルドメインがメンバー依存的に多様化し、各々が特異的な積み荷と相互作用していると予想される。我々は、ライブイメージングおよびテイルドメインと相互作用するアダプター分子の探索を行い、ミオシンVIIIメンバー個々の分子機能を明らかにしようと試みた。全長ミオシンVIIIの局在や運動に関する情報を得るため、プロトプラストや培養細胞での一過的発現によるライブイメージング解析を行った。その結果、ATM1・VIIIAは原形質連絡やアクチンと思われる繊維上にドットとして観察された。ATM2は、細胞質中のドットおよび核内に局在が見られた。VIIIBは凝集した膜構造として観察された。次に、テイルドメインと相互作用する分子を単離するため、HaloTagを融合させたテイルドメインを大腸菌で発現・精製した後、植物培養細胞の抽出液よりpull-downを行い、質量分析により分子の同定を行った。その結果、これまでに多くの候補分子を得ている。今大会では、以上の結果を統合して、植物特異的ミオシンVIIIの機能について議論する。