抄録
シロイヌナズナのゲノム中にはRab GTPaseをコードする遺伝子が57個存在し,そのうち26遺伝子がRab11グループ(RabA1~RabA6)に分類される.一方で,酵母・動物ではRab11グループに属する遺伝子はごく少数であることから,植物においてRab11グループは独自の進化を辿り多様化したと考えられる.我々は,Rab11グループの多様化が植物の膜交通システムに与えた意義を解明すべく解析を行っている.これまでにRabA1サブグループ(RabA1a~RabA1iの9遺伝子)のメンバーがトランスゴルジネットワーク(TGN)近傍のドット状のオルガネラに局在し,特にRabA1eはTGN近傍から根毛先端への輸送を担っていることを示唆する結果を得ている.今回はさらに詳細な細胞内局在の解析を行い,RabA1bおよびRabA1eが,シロイヌナズナ個体において,分泌経路で機能するR-SNAREであるVAMP722と極めてよく共局在することを明らかにした.その一方で,RabA1bとRabA1eは一部異なるコンパートメントに局在していたことより,RabA1メンバー内においても機能すべき輸送経路が分化している可能性が示唆された.本発表では,Rab11メンバーの相互作用因子探索の経過についても報告したい.