日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナ小胞体の形態維持のための新しい分子機構
*中野 亮平松島 良上田 晴子田村 謙太郎嶋田 知生李 立新林 八寿子近藤 真紀西村 幹夫西村 いくこ
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p. 0129

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抄録
小胞体は,非常に複雑なネットワーク状の構造をとりつつ,ダイナミックに運動するオルガネラである.このような形態の複雑性は小胞体機能の多様性に関与しているが,これらの構造を形成・維持する分子機構は未解明の部分が多い.我々はこれまでに小胞体の形態異常を示す3種類のシロイヌナズナ変異体を単離している (ermo1, ermo2, およびermo3).このうちermo1ermo2の表現型は部分的に類似しており,GNOM-LIKE1 (GNL1) とSEC24aをコードする遺伝子に変異がみつかった (1).これらの因子はともに小胞体―ゴルジ体間の輸送に関与すると考えられている.我々は,ERMO1およびERMO2によって特異的に輸送される未知の因子が小胞体の形態において重要な働きを担っていると考えている.一方,ermo3ではGDSL-motif lipaseと呼ばれるリパーゼをコードする遺伝子に変異を同定した.この酵素は液胞内腔に局在されると予測されている.我々の解析結果は,小胞体の形態と脂質代謝経路とをつなぐ全く新しい経路の存在を示唆している.
(1) Nakano, R.T. et al, Plant Cell, 10.1105/tpc.109.068270 (2009).
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© 2010 日本植物生理学会
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