日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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葉緑体NAD(P)H dehydrogenaseの機能に必須なシロイヌナズナ新規タンパク質
*山本 宏Peng Lianwei深尾 陽一朗鹿内 利治
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p. 0206

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抄録
葉緑体NAD(P)H dehydrogenase (NDH)は、ミトコンドリアおよびバクテリアの呼吸鎖Complex Iのホモログであり、光化学系I循環的電子伝達(CET)およびChlororespirationに機能している。CETにおいて、NDHは葉緑体ストロマ中の還元力を用い、プラストキノンを還元するが、電子供与体は未だ不明である。最近、Pengら(2009)は、NDHはPSIと超複合体を形成し機能することを明らかにした。しかし、電子供与体の結合サブユニットは未知で、NDHの全サブユニット構成の理解に至っていない可能性がある。今回、シロイヌナズナより新規なNDH関連タンパク質を同定し、その機能解析を行ったので報告する。
このタンパク質のホモログはシアノバクテリアに存在するが、NDHを欠くクラミドモナスには見出されなかった。このタンパク質は膜貫通ドメインおよび既知の機能性モチーフを有さないが、チラコイド膜に局在し、シロイヌナズナの欠損株はNDH活性を失っていた。またBN-PAGEにより、NDH-PSI supercomplexと相互作用していることが明らかとなったが、このタンパク質の欠損は、NDH-PSI supercomplexおよび他のNDHサブユニットの安定性には影響を与えなかった。
Peng et al. (2009) The Plant Cell in press.
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© 2010 日本植物生理学会
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