日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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ステロール量・組成変動による遺伝子発現変化の解析
*鈴木 優志嶋田 幸久大山 清上出 由希子岡咲 洋三橋之口 裕美佐々木 江理子高橋 知登世斉藤 和季村中 俊哉
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p. 0225

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抄録
ステロールはグリセロ脂質と並ぶ代表的な脂質分子種であり、細胞質のメバロン酸経路で生合成されるイソプレノイド型脂質である。我々はステロール生合成遺伝子の解析を通じて、伸長生長、老化、雄性配偶体の形成、葉緑体分化など様々な段階でステロールが重要な役割を果たしていることを見出してきた。そこで、植物の生長生理におけるステロールの機能を包括的に理解するために、シロイヌナズナのステロール生合成変異体を網羅的に収集し、脂質分析とマイクロアレイによる遺伝子発現解析を現在行っている。
ホモ個体が得られた19遺伝子の変異体についてステロール分析とマイクロアレイ解析を行った。強い矮性を示すhmg1, sqe1, det2, dwf4のうち、hmg1sqe1は全ステロール量が野生型の約半分であったが、ステロール組成に大きな変化は見られなかった。det2dwf4はブラシノステロイド欠損変異体であり、ステロールの量に影響は無かった。個々の変異体をマイクロアレイ解析し、そのデータを統計解析した。いずれかの変異体で有意に変動した遺伝子を選抜して階層的クラスター解析(HCA)を行った。表現型解析、ステロール分析の結果と合わせて考えると、ステロール量の減少はブラシノステロイド欠損同様に植物細胞に大きな影響を与えること、C27, C28, C29ステロールのバランスが遺伝子発現に影響することが示唆された。
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© 2010 日本植物生理学会
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