日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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維管束形成の初期過程で働くNOVVAHの解析
*槻木 竜二石橋 桂岡田 清孝
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p. 0243

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抄録
維管束のパターン形成機構や維管束細胞列の数を制御する仕組みを理解するために、維管束形成に異常のあるシロイヌナズナ突然変異体を単離し、維管束形成に関わる遺伝子の同定と解析を行っている。no vein (nov)変異体では葉に維管束の減少がみられ、葉脈の無い葉も観察される。根端分裂組織の幹細胞の維持や胚発生過程における子葉原基の発達と分離などにも異常がある。これまでに、NOV遺伝子が、胚、葉、根においてオーキシンに依存した協調的な細胞の分化やパターニングに重要な役割を持つこと、植物に特異的な分子量約306 kDの新規核タンパク質をコードすることを明らかにしている(Tsugeki et al., Plant Cell, 2009)。vascular hyperplasia (vah)変異体では、葉脈パターンの異常と葉脈維管束細胞列数の横方向への増加が観察される。根では、木部形成の異常や内皮細胞列で異所的な分裂が観察される。また、オーキシン極性輸送阻害剤のある条件で芽生えを生育させると、野生型で観察される葉と根における維管束細胞列の増加や根端コルメラ細胞の増加が、vahでは更に促進された。一方、novではそれらの増加がほとんど起こらなかった。本発表では、維管束形成や根端分裂組織におけるNOVVAHの役割について報告する。
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© 2010 日本植物生理学会
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