抄録
CLEファミリーはC末にCLV3と相同性の高いペプチド配列を持つ遺伝子群であり、分裂組織のサイズ調節やその分化に関与していると考えられているが、多くのCLE遺伝子について、その詳細な機能は不明である。本研究では、根で発現することが知られているシロイヌナズナのCLE1-7遺伝子に注目し、その発現パターンを解析するとともに、過剰発現株の根を観察することで、CLE1-7遺伝子の根の形態形成における役割を明らかにすることを目的とした。
低硝酸培地で栽培した個体の根ではCLE1, 3, 7遺伝子の発現量が高かった。promoter-GFPの観察から、CLE1, 2, 3, 4, 7遺伝子が根の内鞘細胞で発現していることがわかった。CLE1, 2, 3, 4, 5, 7の各遺伝子の過剰発現株では、側根が野生型株と比較して短くなる傾向が見られた。
一方、CLV3のレセプターであるCLV1遺伝子の変異体では側根が長く、CLV1がCLE1-7ペプチドのレセプターとして働いている可能性が示唆された。CLV1 promoter-GFPの観察から、CLV1は根の篩管伴細胞で発現していることがわかった。本研究発表では、clv1変異体でCLE3を過剰発現させた株の解析を行い、CLV1とCLE1-7遺伝子の関係について議論する。