日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

シロイヌナズナ PDF2 過剰発現体における花芽分化誘導機構の解析
*松山 善亮Robvieux Florent渡辺 綾子米田 好文
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0270

詳細
抄録
シロイヌナズナ PROTODERMAL FACTOR 2 (PDF2) は HD-ZIP type IV (HD-GL2 型) 遺伝子ファミリーに属す転写因子をコードし、茎頂分裂組織における L1 層の細胞分化・維持に重要な役割を担うことが明らかとなっている。一方、PDF2 過剰発現体 (35S::PDF2) では、表皮に顕著な異常は見られないが、遅咲きの表現型を示す。この遅咲きの表現型は長日条件下でのみ見られることより、35S::PDF2 は光周性過程に欠損があると示唆された。そこで、35S::PDF2 において光周性過程に属す遺伝子の発現解析を行ったところ、概日時計の出力系に位置する CO の発現周期における昼間のピークが欠損していた。
35S::PDF2 の遅咲きに関与する因子を探すために、酵母ツーハイブリッド法を用いて PDF2 と直接相互作用する因子をスクリーニングした。L1 層での機能に関係する因子を除いた 14 の候補遺伝子のうち、PTF1SGR5 について解析を行った。ptf1 変異体は短日条件下で遅咲きになるという知見があり、花成誘導への関与が考えられた。SGR5 では、相同性の高いトウモロコシ ID1 やイネ Ehd2 の機能欠損株が遅咲きになるという知見があるため、SGR5 とそれとホモログな IDD14IDD16 の花成誘導への関与が予想された。
著者関連情報
© 2010 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top