日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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リン酸化プロテオミクスによる植物免疫シグナリングの解析
*中神 弘史野村 有子大井 信明持田 恵一杉山 直幸石濱 泰白須 賢
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p. 0291

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抄録
プロテオーム解析手法は、遺伝子の機能重複や変異体の致死性に由来する順遺伝学的手法による制約を受けず、また翻訳後修飾の解析に有効な手段であることより、未知のシグナル伝達機構を解析するための強力なツールになると期待されている。我々はこれまでに、代表的な翻訳後修飾の一つであり、植物免疫を含む広範囲の生命現象の制御に関与している「リン酸化」を効率よく大規模に解析するショットガン解析技術の確立を行ってきた。その成果として、数百マイクログラムのタンパク質を含む細胞粗抽出液より1000種類以上のリン酸化ペプチドを日常的に同定することが可能となり1)、これまでにシロイヌナズナで4,000程度、イネでは5,000以上のリン酸化部位を同定することに成功した。
現在、安定同位体標識法を利用した比較解析法の確立と並行して、植物免疫シグナリングに関わっているリン酸化タンパク質の同定に取り組んでいる。本発表では、我々が取り組んでいるリン酸化プロテオミクスについて、そして植物免疫シグナリングにおけるリン酸化制御について得られた知見を紹介する。
1)Mol Syst Biol. 2008;4:193. Epub 2008 May 6.
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© 2010 日本植物生理学会
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