日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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新説デュアルR-遺伝子システムによる病原体認識機構:RPS4とRRS1による異なる3種の病原体の認識
*鳴坂 真理白須 賢久保 康之白石 友紀岩渕 雅樹鳴坂 義弘
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p. 0316

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抄録
アブラナ科野菜類炭疽病菌に感受性を示すCol-0と抵抗性を示すWs-0を交雑して得たF2植物を用いて、SSLPマーカーによるマッピングを行った結果、5番染色体下腕に R-遺伝子が存在することが示唆された。さらに、SNPが明らかにされた19エコタイプを用いたnatural variation解析の結果、炭疽病に対するR-遺伝子は青枯病菌に対応するR-遺伝子RRS1のアリルである可能性が示唆された。次いで、Ws-0のT-DNA挿入変異体ライブラリーから炭疽病感受性変異株を得、そのうち5変異体はRRS1にT-DNAまたは塩基置換が認められた。これに対して、1つの変異体は RRS1に変異が存在せず、隣接するトマト斑葉細菌病菌(非病原力遺伝子AvrRps4を有する)に対応するR-遺伝子RPS4に5塩基の欠損が認められた。これら炭疽病感受性変異株について、青枯病およびトマト斑葉細菌病に対する感受度検定を行った結果、両遺伝子が異なる3つの病原菌の認識に関与することが明らかとなった。さらに、rps4-21rrs1-1変異体から2重変異体を作製し、3つの病原菌に対する感受度検定を行った結果、2つのR -遺伝子が協調して3種の異なる病原体を認識することが示唆された。
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© 2010 日本植物生理学会
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