日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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オルガネラDNAヌクレアーゼDPD1の機能解析:転写後制御の可能性
*山田 浩史丸山 和之鈴木 信弘坂本 亘
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p. 0356

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抄録
植物細胞は核DNA以外に色素体とミトコンドリアにオルガネラDNAを保持している。花粉の発生過程において、栄養細胞(後に花粉管に分化する細胞)と雄原細胞(後に精細胞に分化する細胞)の形成時にオルガネラDNAが劇的に減少することが知られているが、その分子機構は明らかにされていない。昨年度の本年会で、我々は花粉の発生過程においてDPD1(オルガネラDNAヌクレアーゼ)がオルガネラDNAを分解する現象を明らかにして報告した。オルガネラDNA分解の意義については今のところ不明である。今回はDPD1の発現と機能を詳しく調べるために、CaMV35SプロモータによるDPD1過剰発現個体とDPD1 プロモータ:GUS発現個体によるDPD1の組織特的発現を解析した。過剰発現個体では個体ごとのDPD1発現レベルにばらつきがあり、安定してDPD1を過剰発現することはできなかった。またGUSレポーターを用いた実験では、DPD1が花粉特異的に発現するRT-PCRの結果とは相反して花粉以外の組織でも転写されていることが明らかになった。以上の結果から、我々はDPD1が転写後制御により花粉特異的に発現すると推測した。これらの結果と関連して、DPD1をターゲットとするmiRNAがいくつか得られたので、それらの関与について現在解析を進めている。
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© 2010 日本植物生理学会
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