日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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葉緑体分化初期過程を制御する色素体RNA結合タンパク質NUS1の解析
*楠見 健介坂田 知佳子溝山 泰徳射場 厚
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p. 0358

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抄録
分化初期の葉緑体では、色素体遺伝子発現装置の構成や色素体コード遺伝子の発現パターンが成熟葉緑体と大きく異なっていることから、この時期に特異的に機能する遺伝子発現制御メカニズムが存在すると考えられる。イネNUS1タンパク質は約30kDaの分子量を持つ色素体タンパク質で、イネ幼苗の未抽出葉で大量に蓄積し、成熟葉では消失する。NUS1のC末端側には大腸菌のRNA結合型転写調節因子と似た構造の領域(NUSドメイン)があり、ゲルシフト解析により16S rRNAの5'上流領域を始め、複数の色素体RNAと結合することが分かった。また、BN-PAGEにより、100 kDa程度の大きさの複合体に含まれることが示唆された。NUS1を欠失した突然変異株v1の葉細胞では、色素体コード遺伝子の発現制御が損なわれ、葉は顕著なクロロシスを引き起こすことから、NUS1は分化初期段階の葉緑体遺伝子発現制御に重要な役割を持つと考えられる。また、NUS1と同様にNUSドメインを持つもう一つの色素体タンパク質NUS2の解析結果も合わせて報告する。
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© 2010 日本植物生理学会
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