日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナMinE過剰発現体及び変異体における葉緑体FtsZ1-GFPタンパク質のライブ観察
*藤原 誠関根 康介山本 義治阿部 知子佐藤 直樹伊藤 竜一
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p. 0362

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抄録
葉緑体は植物細胞内で対称二分裂によって増殖する。葉緑体分裂の初期イベントはチューブリン様タンパク質FtsZが重合して出来るZリング形成であると考えられており、我々はこれまでにZリング形成の空間的制御にはストロマタンパク質MinDとMinEの活性のバランスが重要であることを示してきた。しかし、FtsZタンパク質が葉緑体内の特定の位置で凝集、重合し、さらに高次リング構造を形成するin vivoの過程については、未だ不明な点が多い。今回、我々はFtsZ1とGFPとの融合タンパク質(FtsZ1-GFP)を発現するシロイヌナズナMinEAtMinE1)過剰発現体及び変異体を用いて、生体葉緑体内におけるFtsZ1の構造と挙動を詳細に観察した。
経時観察の結果、AtMinE1過剰発現体及び変異体いずれにおいても、ドット状及び短いフィラメント状のFtsZ1構造が存在し、無秩序な運動性を示すことが明らかになった。短いフィラメント状のFtsZはしばしばドット状のFtsZから伸張しており、別のフィラメントに組み込まれ太いフィラメントを形成した。AtMinE1過剰発現体では伸張した葉緑体を巻く螺旋状のFtsZが観察されたほか、atminE1変異体では巨大葉緑体のストロマ中に浮かぶ直径2μm以下のリングが検出された。
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© 2010 日本植物生理学会
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