日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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単面葉における葉身の平面成長機構の遺伝学的モデル
*山口 貴大塚谷 裕一
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p. 0380

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抄録
一般に葉は,向背軸の極性に依存する仕組みによって平面成長し,光受容に適した平たい構造になると考えられている.一方,背軸面に相当する組織だけで葉身が構成される「単面葉」を持つ植物においても,平たい葉身を形成する種が多くみられる.したがって,このような植物においては,葉の向背軸極性に依存しない独自の機構により葉身の平面成長性が制御されており,平たい葉身は両面葉と単面葉で収斂進化したと考えられる.
我々は,単面葉における葉身の平面成長機構を解明するために,2 種の近縁なイグサ属植物,平たい単面葉をもつコウガイゼキショウと,丸い単面葉をもつハリコウガイゼキショウを用いた比較分子遺伝学的解析を行い,まず遺伝子発現解析により,その制御に深く関わる 2 つの遺伝子を同定した.次に種間雑種を用いた遺伝解析により,これらの因子が 2 種間の葉身の平面成長性の差を直接的に制御するか否かを検証するとともに,葉が丸くなるコウガイゼキショウの突然変異体を用いた発生遺伝学的解析等により,それら遺伝子間の遺伝的制御関係を解析した.本報告では,これらの解析により得られた,単面葉における葉身の平面成長制御に関する遺伝学的モデルを提唱する.またこれらの研究過程で,葉の中央―周縁の極性制御機構に関して新規な知見を得ることに成功したので,あわせて報告する.
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© 2010 日本植物生理学会
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