日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナのミオシン破壊株における葉緑体光定位運動の解析
*末次 憲之Peremyslov Valera V.Dolja Valerian V.和田 正三
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p. 0394

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抄録
葉緑体運動は葉緑体の正常な機能を行うために必須である。多くの植物で、葉緑体運動はアクチン繊維に依存している。我々は、シロイヌナズナにおいて、葉緑体の細胞膜に接する部分に存在する短いアクチン繊維(cp-actin 繊維)が、葉緑体光定位運動と葉緑体の細胞膜へのアンカーを制御するという新しいメカニズムを発見した。青色光照射によって葉緑体運動を誘導すると、cp-actin 繊維は葉緑体が動き出す前に移動方向の前端側に偏在し、このcp-actin 繊維を利用して葉緑体は移動する。定位した葉緑体のcp-actin繊維は弱い光によって増加し、葉緑体の運動を減少させるが、強光下では偏在化の前に一過的に消失し葉緑体の運動は増加する。これらのcp-actin 繊維の光による消長はフォトロピンによって制御されている。しかし、cp-actin 繊維が葉緑体運動を推進する動力を発生させる機構は明らかになっていない。ミオシンはアクチン繊維のモータータンパク質として知られ、cp-actin 繊維依存の葉緑体運動の動力発生因子の第一の候補である。我々はシロイヌナズナのミオシン破壊株における葉緑体光定位運動を調べた。
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© 2010 日本植物生理学会
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