日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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後生木部における壁孔タイプの二次細胞壁形成制御の解析
*飯田 有希小田 祥久福田 裕穂
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p. 0395

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抄録
道管を構成する管状要素には特徴的な二次細胞壁(二次壁)がある。分化の過程において表層微小管とアクチン繊維はこのパターン制御システムの中心を担うと考えられており、我々はそれぞれの配向について着目し研究をおこなった。
管状要素のうち、とくに後生木部は壁孔タイプの二次壁というユニークな細胞壁をもつ。そこで、後生木部細胞のマスター因子VND6発現による細胞分化誘導系を用い、分化過程での表層微小管とアクチン繊維の局在を詳しく解析した。その結果、表層微小管はいくつかの異なる配向変化を経て二次壁の沈着パターンを制御することがわかってきた。一方、アクチン繊維は二次壁や表層微小管との共局在は見られず、二次壁のパターン形成の制御に直接には関与しない可能性が示された。
表層微小管は、通常では細胞の長軸方向に対して垂直に並んでいるが、分化の過程では配向がランダム化し、その後二次壁の沈着に先行して穴あき型の配向を形成した。一方、表層微小管安定化剤処理をすると、表層微小管がランダムに配向することなく、通常の表層微小管の配向を保った。そのためこれに沿った二次壁パターンが形成された。これらの結果から、分化過程での表層微小管の一連の配向変化が、適切な二次壁パターンの形成に必要であることが示唆された。
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© 2010 日本植物生理学会
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