日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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ヒメツリガネゴケの転写因子E2Fによる細胞運命転換の制御機構
*石川 雅樹秋田 朝日小栗 康子長谷部 光泰久保 稔
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p. 0411

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抄録
ヒメツリガネゴケは、胞子から発芽後、細胞が一列に並んだ原糸体を経て、茎と葉からなる茎葉体へと発生していく。葉を茎葉体から切り離すと、切断面に面した葉細胞が細胞分裂を再開し、原糸体細胞へとその細胞運命を変える。我々はこれまでに、この過程においてAタイプサイクリン依存性キナーゼの活性化が細胞周期G1期からS期への移行だけでなく、葉細胞から原糸体細胞への細胞運命転換にも必要であることを明らかにした。このことは細胞周期G1/S期移行と細胞運命転換が連動していることを示唆している。そこで我々は、シロイヌナズナ等でG1/S期移行で機能することが知られている転写因子E2Fに着目した。ヒメツリガネゴケのゲノムには、典型的なE2Fをコードする遺伝子が4種類(E2F;1 ~ E2F;4)存在しており、そのうち一つのE2Fについて機能獲得型変異体と思われる形質転換体を単離した。その表現型について調べたところ、茎葉体につく葉の枚数が多くなり、また葉の一部で異所的な細胞分裂が起こったことによる突起した葉が観察された。さらにその葉を茎葉体から切り離すと、切断面に面した葉細胞だけでなく、突起した葉の先端部にある葉細胞からも原糸体が再生した。本大会では、これらの結果をふまえ、E2Fによる細胞運命転換の制御機構について考察する。
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© 2010 日本植物生理学会
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