日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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窒素同化におけるイネ葉緑体型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPC)の役割
*増本 千都宮澤 真一草野 都斉藤 和季宮尾 光恵
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p. 0441

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抄録
PEPCは細胞質に局在すると考えられてきたが,イネは葉緑体局在性のPEPC(Osppc4)をもつこと,本酵素が葉身の主要PEPCのひとつであることを報告してきた.本研究では,RNAi法でOsppc4の発現を抑制した形質転換イネを用い,Osppc4の機能を検討した.成長解析により,発現抑制イネでは窒素の取り込み・同化が抑制され,栄養生長期の生育が阻害されることがわかった.この生育阻害は窒素源(硝酸,アンモニア)にかかわらず観察されたが,窒素源がアンモニアのとき顕著だった.またメタボローム解析により,Osppc4の発現を抑制すると窒素同化系(GS/GOGAT経路)への有機酸(炭素骨格)の供給が低下し,GOGAT反応が抑制されることが明らかにされた.以上の結果は,解糖系に加え,イネはOsppc4が関与する独自の有機酸合成系をもつこと,この経路がアンモニアを主要窒素源とする生育環境で主要な炭素骨格供給系として働くことを示している.この経路で合成された有機酸がどこで使われるのか,具体的には,葉肉細胞葉緑体内のGS2/fd-GOGATか,維管束のNADH-GOGATかを検討中である.
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© 2010 日本植物生理学会
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