日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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海洋性ラン藻の亜硝酸イオン輸送体の解析
*前田 真一村上 明男伊藤 寿田中 歩小俣 達男
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p. 0442

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抄録
これまでに多くのラン藻の全ゲノム情報が解読され、淡水性ラン藻にはABC型の硝酸イオン/亜硝酸イオン輸送体が存在し、硝酸還元酵素を持つ海洋性ラン藻にはMFS型の硝酸イオン/亜硝酸イオン輸送体が存在することが示されている。また、亜硝酸還元酵素を持つ海洋性ラン藻の中には、緑藻の亜硝酸イオン輸送体や細菌のギ酸イオン輸送体と相同性の高い輸送体をコードしているfocA遺伝子を持つものがいることも示されている。我々はこれまでに、淡水性ラン藻Synechococcus elongatusにはABC型硝酸イオン/亜硝酸イオン輸送体の他にABC型シアン酸イオン/亜硝酸イオン輸送体が存在し、両方のABC型輸送体を欠失させた二重変異株は能動的な亜硝酸イオンの取り込み活性がなくなることを報告してきた。そこで本研究では、この二重変異株に3種類の海洋性ラン藻のfocA遺伝子をシャトルベクターを用いて発現させ、その機能を解析した。その結果、Synechococcus sp. PCC7002のFocA輸送体には亜硝酸イオン輸送活性があり、そのKm(NO2-)値は、8μMであることが示された。またこのFocAの亜硝酸イオン輸送活性は、硝酸イオン、シアン酸イオン、ギ酸イオンによって競合阻害を受けず、亜硝酸イオン特異的であることが明らかとなった。
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© 2010 日本植物生理学会
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