日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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ソルガムRbcSの高発現は形質転換イネにおけるRubiscoの反応回転速度を増加させる
*石川 智恵畠中 知子三十尾 修司深山 浩
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p. 0480

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抄録
Rubiscoの酵素特性には種間差があり,反応回転速度(kcat)はC3植物で低く,C4植物で高い.本研究では,C4植物であるソルガムのRubisco小サブユニット(SbRbcS)を高発現する形質転換イネを作出し,Rubiscoの酵素特性に及ぼす効果を解析した.SDS-PAGEにおいてSbRbcSとイネRbcSは移動度が異なることから,その発現量の比較が可能であり,SbRbcS発現量が全RbcSの30,44,79%の異なる形質転換イネ3系統を実験に用いた.形質転換イネにおけるRubiscoのkcatはイネの1.3-1.5倍と有意に増加した.またKm(CO2)についても,すべての形質転換イネのRubiscoにおいて約1.3倍の増加が認められた.このkcatとKm(CO2)の増加は,SbRbcS発現量に関わらずすべての系統において同程度であった.BN-PAGEでは,ソルガムRubiscoはイネRubiscoよりも見かけの分子量が少し小さいが,SbRbcSを発現させた形質転換イネのRubiscoでは,SbRbcSの発現レベルが高くなるにつれて見かけの分子量がソルガムに近づく傾向が認められた.以上の結果から,SbRbcSの部分的なイネRubiscoへ組み込みが全体的な立体構造の変化を引き起こしkcatを増加させたものと考えられた.
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© 2010 日本植物生理学会
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