日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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光合成炭素代謝能の改変による種々の代謝系への影響
*田茂井 政宏大鳥 久美出村谷 昌代漆地 里紗山本 祥子出原 亜樹子松本 昭子重岡 成
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p. 0482

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抄録
植物細胞におけるC/N比は厳密に制御を受けていること、光合成増大により生育や細胞数が増加するという事実から、光合成炭素代謝は窒素代謝、形態形成など様々な代謝系に大きく影響を及ぼすと思われる。本研究では、光合成炭素代謝能の改変が種々の代謝系に及ぼす影響を明らかにするために、葉緑体でラン藻由来FBP/SBPase(ApFS)を、細胞質でFBPase(AcF)をそれぞれ発現させたシロイヌナズナを用いて、種々の代謝系酵素遺伝子発現量および代謝産物量に及ぼす影響を検討した。ApFは光合成活性が野生株の約1.2倍に、生重量は約1.3倍に増加していた。関連酵素遺伝子発現量を比較したところ、デンプン合成酵素(At1g32900)のmRNA発現量が野生株と比較して上昇していたが、窒素代謝系酵素のmRNA発現量に大きな差は見られなかった。代謝物を網羅的に解析したところ、ApFSでは野生株よりカルビン回路代謝中間体が増加し、アミノ酸類が減少する傾向が見られた。一方、AcFはFBPase-II導入タバコと同様、通常CO2環境下では野生株と同様の生育を示したが、高CO2環境下では枝数が増加し、生重量は野生株の1.2~1.5倍に増大していた。現在、枝数が増加する原因を明らかにするため、植物ホルモンに応答する遺伝子群の発現量比較しており、発現量に変化が見られた遺伝子を詳細に解析している。
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© 2010 日本植物生理学会
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