日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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ラン藻Synechococcus elongatusの硝酸還元酵素の制御機構の解析
*大橋 慶丈高谷 信之愛知 真木子前田 真一小俣 達男
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p. 0503

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抄録
ラン藻S. elongatus PCC7942(以下PCC7942と略記)の培地にNH4+を加えると、硝酸イオン・亜硝酸イオン輸送体(NRT)と硝酸還元酵素(NR)の活性が阻害されてNO3-やNO2-の吸収が停止する。NRTの制御にはPIIタンパク質とNRTの活性制御ドメインが関与することが分かっているが、NRの制御機構についてはPIIが関与すること以外には何も分かっていない。そこで本研究では、Synechocystis sp. PCC6803(以下PCC6803と略記)のNRが活性制御を受けないことを利用し、PCC6803株とPCC7942株とのキメラNRを作製して活性制御に必要な部位の特定を行った。野生株のPCC7942株ではNRだけでなくNRTもNH4+添加によって抑制されるので、NRTの活性制御ドメインを除去してNRTの制御を弱め、さらにNRを欠損させた株(NC2ΔNR)を親株としてキメラNRを導入した。種々のキメラNRをもつ株を比較した結果、PCC7942株のNRのN末端領域が活性制御に必須であることが示された。次に、様々なラン藻NRの中からN末端領域の配列がPCC7942型のものとPCC6803型のものに似たものを選び、NC2ΔNR株に導入して活性制御の有無を調べた。現在この結果に基づいて、NRの活性制御に重要なアミノ酸残基の絞り込みを試みている。
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© 2010 日本植物生理学会
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