抄録
09年名古屋の学会で、リンゴがモデル植物のシロイヌナズナ同様、FTの過剰発現によって花成を著しく促進することを報告した。ただし、FT遺伝子の由来、発現組織によって効果に差が現れた。35S:MdFT(リンゴFT), rolCp:FT(シロイヌナズナ), rolCp:Hd3a(イネ)それぞれを導入した組み換えリンゴは3ヶ月から8ヶ月で花成を誘導することが出来た。他の組み合わせでは花成は誘導されなかった。FT遺伝子とGFPを連結することで発現組織を検出したところ、35Sプロモーターでは植物体全体で発現し、rolCプロモーターでは維管束で発現を確認した。35SプロモーターではGFPを連結することで花成の促進がやや抑制される傾向を示したが、rolCプロモーターでは余り影響は見られなかった。融合タンパクの分子量は、抗GFP抗体で確認した。これらの組み換えリンゴと非組み換えリンゴを接ぎ木した場合、シロイヌナズナやイネのようにFTタンパクが移動し、非組み換えリンゴにも花成を促進するのか、実験を行った。コントロールにはrolC:GFP組み換えリンゴを用いた。用いた材料は発根させてポット苗にした6ヶ月から1年生の組み換えリンゴ(JM2)と「つがる」や「紅玉」の実生(約1年生)を呼び接ぎによって茎のほぼ中央で接ぎ、1ヶ月後に活着を確認後GFP蛍光、抗GFP抗体、抗FT抗体で検出した。