抄録
白色光、低pH条件下(pH 4)でレタス芽生えを培養すると根毛形成が誘導される。暗黒下では無傷芽生えであっても低pH条件による根毛形成は全く起こらなくなるが、クロロゲン酸(CGA)を添加すると根毛形成の回復が見られた。地上部を切除した芽生え(単離根)では暗黒下、低pH条件で培養すると、CGAを添加しても根毛が全く形成されないが、糖を同時添加すると根毛形成の回復が見られた。これらのことから、低pH条件下で、糖は地上部から供給され、CGAと協調して根毛形成を誘導する可能性が示唆されている。そこで、根における内生糖(グルコース・フルクトース)含有量を測定することで、糖と根毛形成の関係を詳しく調べることにした。
暗黒下、低pHにおける無傷芽生えでのCGAによる根毛形成は、培地変換後4時間目で原基形成が見られ始めるが、24時間後には根毛形成がほとんど起こらなくなっていた。この4時間目の根における糖含有量を測定すると、低pH無傷芽生えでCGAの有無に関わらず前培養よりも2倍以上の増加が見られたが、CGAを添加しても根毛形成の起こらないpH 6無傷芽生えや単離根は前培養のものとほとんど変わらなかった。さらに、24時間目ではpHに関わらず無処理根・単離根において糖含有量が前培養時よりも減少していた。よって、根毛形成の有無と糖含有量の増減の間に強い相関があることが明らかになった。