抄録
シロイヌナズナにおいてホスファチジルエタノールアミン(PE)はCDP-エタノールアミン経路によって小胞体で合成される。CTP:ホスホリルエタノールアミンシチジリルトランスフェラーゼ (PECT1; EC 2.7.7.14)はPEの生合成を律速し、ミトコンドリアの外膜表面に局在する。PECT1がミトコンドリアに局在する意義については不明である。今回PECT1のN末端領域の疎水性配列PECT1NがPECT1のミトコンドリアターゲティングに十分な機能をもっていた一方、PECT1-EYFPからPECT1N配列を除去したタンパクΔNPECT1-EYFPは核や細胞質へとターゲティングされた。pect1-6変異株におけるΔNPECT1-EYFPの発現は胚性致死の表現型を相補したので、PECT1のミトコンドリア局在はシロイヌナズナの胚発生には必須ではないことがわかった。transΔNPECT1-EYFP pect1-6変異株における低温感受性や花成、葯の発達の表現形について報告する。