日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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タバコ種間雑種( Nicotiana gossei Domin ×N.tabacum L.)培養細胞の細胞死における一酸化窒素(NO)の役割
*山本 拓海庄村 幸子小川 健一三野 真布
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p. 0586

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抄録
タバコ種間雑種培養細胞GTH4は、培養温度を37℃から26℃にすると活性酸素種(ROS)の一過的増減を伴い致死する。他方、致死抑止型突然変異を起こしたGTH4S細胞にはROSの増減は認められない。我々はこれまで、GTH4の細胞死シグナルとしてH2O2が重要であり、過剰なO2の発生がH2O2の細胞死効果を減じることを報告した。本報告では、O2と反応してONOOを生成させることが知られているNOの役割を、ROSとの関係から明らかにする。GTH4細胞のNO量は、26℃に移した後6時間目にかけ増加したが、GTH4Sでは殆ど増加しなかった。他方、ROSは2~3時間目をピークに一過的増減をおこした。NOを発生させる試薬(SNP、SNAP)またはスカベンジャー(cPTIO)、さらにROSを発生させる試薬(メナジオン、キサンチン/キサンチン酸化酵素)を細胞に投与して以下のことを明らかにした。(1)NO量の増大はO2とH2O2量を減少させ、細胞死を抑制する。(2)O2量の増大はH2O2量を増加させるが、NO量を減少させ細胞死を抑制する。(3)細胞死はH2O2の単独処理により促進されるが、NOが共存するとその効果はさらに増大する。以上の結果から、NOとO2の量比バランスのもとで決まるNOとH2O2とが協調的にGTH4の細胞死を制御することが明らかとなった。
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© 2010 日本植物生理学会
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