日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナゲノムタイリングアレイを用いたメチローム・トランスクリプトーム統合解析
*柴 博史栢部 健人樽谷 芳明藤田 雅丈倉田 のり矢崎 潤史ECKER JOSEPH磯貝 彰高山 誠司
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p. 0595

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抄録
近年のゲノム解析技術の発達により種々の生物種でゲノム塩基配列が解読され、これを用いた形質発現調節機構の解明が進められている。その過程で、DNA配列の変化を伴うことなく、後天的な作用により変異が生じる機構が発見されてきた。DNAメチル化は、エピジェネティックな遺伝子発現制御機構の主要因として動植物を問わず広く知られており、これを介したエピジェネティクスな遺伝子発現制御機構は、種々の生物現象に関わることが示されている。
最近、ゲノムタイリングアレイあるいは高速シークエンサを用いた解析技術が開発され、転写様式、ゲノム修飾部位の網羅的探索が可能となりつつある。ゲノムタイリングアレイは、セントロメア等の高リピート領域を除く全ゲノム配列に対応するオリゴプローブを等間隔に基盤上に貼り付けた物で、遺伝子コード領域だけでなく、ゲノムのあらゆる部分からの転写産物を見ることが出来る。またゲノム断片を使った免疫沈降実験とタイリングアレイを組み合わせることで、DNAメチル化、ヒストン修飾等の網羅的検出が可能である。これらデータを統合することで、遺伝子発現制御に関わる様々なエピジェネティックな要因を明らかにすることが期待される。本演題では、現在我々が進めているゲノムタイリングアレイを用いた研究を通じて、植物におけるDNAメチル化を介した遺伝子発現制御機構に関する新たな知見を示したい。
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© 2010 日本植物生理学会
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