抄録
真核細胞内の物質輸送を担う輸送小胞のうち、COPII被覆小胞は小胞体(ER)からゴルジ体へ向かう順方向の輸送を司っており、その被覆は低分子量GTPase,Sar1と2種類のタンパク質複合体(Sec23/Sec24, Sec13/Sec31)からなる。これらの複合体のうちSec23/Sec24はヘテロニ量体を形成し、ER膜上で積荷の選択や認識に関わっている。また、Sec13/Sec31はヘテロ四量体を形成し、積荷の濃縮と膜の湾曲に関与している。これまで、当研究室ではシロイヌナズナの気孔形態に異常を示す変異体からSec31のホモログ(ATSEC31A)が単離された。また、この遺伝子破壊株は葯の裂開が起きず雄性不稔を示した。そこで、本研究では別の構成因子であるSec23とSec24のホモログの解析を行っている。データベースの検索より、シロイヌナズナにはSec23のホモログが7つ、Sec24のホモログが3つ存在することが示唆された。我々は、これらのSec23のホモログをそれぞれATSEC23A、ATSEC23B、ATSEC23C、ATSEC23D、ATSEC23E、ATSEC23F、ATSEC23Gとし、同様にSec24ホモログについてもATSEC24A、ATSEC24B、ATSEC24Cと名づけた。ここでは、それぞれの細胞内局在、発現部位や破壊株による機能解析の結果を報告する。