抄録
花粉管伸長において、花粉管の先端部分への膜成分や細胞壁成分の極性を持った小胞輸送が重要であることが知られている。一方、SNAREタンパク質は、小胞輸送において輸送小胞と標的膜との融合時に融合の特異性を決定する働きをしている。そこで、今回、我々は花粉管伸長時におけるSNAREの局在と膜動態について以下のような解析を行った。細胞膜に局在しているQa-SNAREのうち、花粉特異的に発現しているSYP124,125,131にGFPを融合させた遺伝子組み換え植物を作成し、局在を観察した。この結果、成熟花粉において各SYPは花粉粒内に散在していた。しかし、伸長している花粉管において、GFP-SYP124、125は花粉管先端に強く局在している一方、GFP-SYP131は花粉管全体に局在した。この事から、GFP-SYPは発芽前後に局在が劇的に変化すると考えられた。この局在変化をより詳細に観察する為に、顕微鏡観察下でマイクロマニュピレーターを用いて、GFP-SYP125を発現している植物の花粉を柱頭の乳頭細胞に受粉させ、給水から発芽までのGFP-SYP125の動態を連続的に観察した。この結果、発芽直前にGFP-SYP125が発芽孔に集中し、細胞質に散在したSYPが発芽した花粉管に急激に集まっていく様子を捉えた。また、本発表では花粉発達段階におけるGFP-SYPの局在についても報告する。