日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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緑藻クラミドモナスのリン酸トランスポーター遺伝子発現に対するヒ酸の影響
*室田 知里松本 寛子尾畑 沙矢香蛭田 陽介藤原 祥子都筑 幹夫
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p. 0682

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抄録
緑藻クラミドモナスでは、現在までにPTA typeとPTB typeを含めた十数個のリン酸トランスポーターの存在が示唆されている。Chlamydomonas reinhardtii AR3株は、リン酸トランスポーター遺伝子ホモログのうちPTB1を欠損したヒ酸耐性株である。また、光合成系損傷(phosphoribrokinase欠損株)であるCC981も、AR3と同様、ヒ酸耐性能をもつ。これらの株では、培地中に同濃度のヒ酸とリン酸が存在したとき、リン酸取り込み量は大きいが、ヒ酸取り込み量は野生株(CC125)と比較して抑制されることが明らかとなっている。
本研究では、これらの変異株と野生株におけるリン酸トランスポーター遺伝子の発現について調べた。通常条件下において、野生株とAR3及びCC981では発現パターンが異なっていた。また野生株を暗条件下においたときや、DCMUを添加し光合成を阻害したときの遺伝子発現への影響も調べた。さらに、リン酸存在下に様々な濃度のヒ酸を添加したときの影響も調べた。リン酸1mM存在下に同濃度のヒ酸を添加した際、野生株においてはPTA1PTA2の転写量の減少がみられた。また、AR3株ではPTB2の顕著な発現量の増加がみられた。これらの結果から、ヒ酸添加により、リン酸トランスポーター遺伝子の発現が抑制または促進されることが明らかとなった。
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© 2010 日本植物生理学会
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