日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナの葉の向背軸極性分化における核小体タンパク質ヌクレオリンの役割
*氣多 澄江中川 彩美小島 久恵堀口 吾朗塚谷 裕一中村 研三町田 泰則町田 千代子
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p. 0789

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抄録
植物の葉は、基部先端部軸、向背軸、中央側方軸の3方向軸への細胞分化と細胞増殖によって形成される。シロイヌナズナのASYMMETRIC LEAVES1 (AS1) およびASYMMETRIC LEAVES2 (AS2) は、葉の向軸側において背軸化因子群の発現を抑制して向軸化させる機能をもつ。最近、リボソームタンパク質や低分子RNAの生合成関連因子が、AS1AS2と共に向背軸分化に関わることが報告された。これらの因子は核小体に局在すること、またAS1、AS2も核および核小体の周縁部に塊状に共局在する(AS2 body)ことから、向背軸分化において核小体が重要な役割を果たす可能性が推測される。しかしながら、葉の発生・分化における核小体の役割についてはほとんどわかっていない。近年、核小体は、リボソーム合成以外にDNA損傷応答系、老化およびストレス応答にも重要な機能を持つことが示されており、核小体機能解明の重要性が示唆されている。ヌクレオリンは核小体に局在し、真核生物で高く保存され、機能解明が進んでいるタンパク質である。本研究ではまず、ヌクレオリンとas1との二重変異体を作成し、ヌクレオリンがas1単独変異体の葉の表現型異常を亢進することを明らかにした。AS1と共に葉の向背軸極性分化に関わる核小体タンパク質ヌクレオリンの役割について考察する。
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© 2010 日本植物生理学会
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