抄録
温帯に分布する多年生植物は、四季の変化に適応した生長パターンを示す。多年生植物の芽は、秋に自発休眠に入り、休眠芽の状態で越冬する。その後自発休眠は、長期の低温に遭遇することで打破され、春に生長を再開する。この自発休眠は、多年生植物が低温や乾燥などの不適な環境下において生存するための適応形質であると考えられる。しかしながら、多年生植物における芽の自発休眠に関する分子生物学的メカニズムは明らかになっていない。我々は、温帯果樹であるウメ(Prunus mume)から自発休眠期に高い発現を示すSVP相同遺伝子DORMANCY ASSOCIATED MADS-BOX6 (DAM6) を単離した。DAM6の季節的な発現を調査したところ、自発休眠期に発現が増加し、自発休眠覚醒期に発現が減少するといった自発休眠と関連した発現パターンを示した。また、DAM6の発現低下には長期の低温が必要であることが明らかになった。さらに、DAM6をポプラにおいて過剰発現させたところ、本来野生型が生長を停止しない長日条件下において生長が抑制された。以上の結果から、SVP相同遺伝子であるDAM6は、ウメにおいて芽の自発休眠を制御している可能性が示唆された。